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茶々姫をたどる汐路にて

茶々姫研究日記(こちらが現行版になります)

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『千姫 おんなの城』

 
千姫 おんなの城 (PHP文芸文庫)千姫 おんなの城 (PHP文芸文庫)
植松 三十里

PHP研究所 2011-07-16
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今年の7月に出版された、千の生涯を描いた作品です。
わざわざ植松先生に送っていただき、早速その日のうちに拝読させていただきました。
なんと、『めのと』に引き続きこちらでも巻末の参考文献に私のサイトURLを掲載していただいています。
お役に立ったかどうかかなり微妙なので、大変恐縮するばかりです。

千を通して千自身、そして千の周囲の人々が負う悪名にまつわる話がとても印象深いです。
特に茶々は大変好意的に描いていただいており、茶々を描いた作品の中でもかなりお勧めです。
豊臣家内部では、京のお寧さんとの連絡伝達が大変重要な要素を占めており、それもとても面白かったです。

個人的には、千の乳母である刑部卿局についてこれまでこれといった思い入れを持てなかったのですが、この作品で徳川の人間でありながら豊臣の人々とも近くにいた女性として、難しい立場が良く描かれており大変好感をもちました。

「茶々が千の裾を踏んで退城を阻止していた」と言ったとされる千の側近松坂局の記録については描かれておらず、「悪名」を扱った作品だけに、植松先生ならこの証言をどう解釈されるか拝読して見たかったという思いもあります。まずなにより、それが事実として採用されていなかったことにはなにより胸をなでおろしましたが。
あと、落城の同月末に記録されている千の京都見物。この作品の千がどんな様子でこの見物にのぞみ、京の街並みを見たのか…それも読んでみたかったです。
…いろいろ贅沢ですね(笑)やはり文庫ではいろいろ心残りが。単行本で拝読したかったです。

秀頼の子たちの母として石が登場していますが、千の侍女出身という設定で、終始千の身近に描かれています。なんと求猒も出てきます。

千が大坂を去るシーンは、千を描いた作品の中でも屈指の名シーンだと思います。
千の退城シーンから最期に至るまで、坂崎直盛がとても男前でした。

小説の感想記事が難しいです。
語りつくせない部分も多くあり、語ってはもったいない部分も多くあり。

ともかくいち茶々ファンとしては、是非読んでいただきたい作品です。
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Comment

1. 無題

お久しぶりです!
阿古さんについての講演会、お疲れ様でした。是非とも拝聴してみたかったです………!
そして、こんな素敵な本が出版されていることを紀伊様のご紹介で初めて知りました。『めのと』と同じ方が書かれているのですね。『めのと』も女性陣がとても格好良くて素敵な小説でしたので、こちらの小説もワクワクしながら、早速通販でポチっと押してきました(笑)
素敵な本を紹介して下さり、有難うございます。
暑い日が続きますが、どうぞお体にお気をつけて、ご自愛下さい。

2011.09.20 | 干身[URL] | Edit

2. Re:無題

>干身さん

お久しぶりです。お元気でしたか?卒論の進み具合はどうでしょうか?干身さんの卒論は個人的に是非拝読してみたいです!

女性陣はスポットが当たっている人々みなそれぞれ素敵です。ただ、テーマ上仕方がないのですが、江が茶々のことを誤解している設定がちょっと悲しいですが。

あと、大坂方の牢人衆ががあまり目立っていないのでそこは干身さん的に残念かもしれません。でも、最初は疎んじられている存在として描かれますが、其の後名もなき牢人が亡くなるシーンはとてもよかったです。

う、ネタバレが過ぎましたか…
是非ブログで干身さんなりの感想を拝見したいです!こっそり楽しみにしています。

2011.09.20 | 紀伊@赤石いとこ[URL] | Edit

    
プロフィール

紀伊

Author:紀伊
茶々姫(浅井長政の娘、豊臣秀頼の母)を中心に、侍女、ご先祖の浅井家女性(祖母井口阿古など)、茶々の侍女やその子孫、養女羽柴完子とその子孫を追いかけています。
ちょこっとものを書かせていただいたり、お話しさせていただくことも。





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メモ「赤石いとこ」名義で記事を書かせていただきました。

悲劇の智将 石田三成 (別冊宝島1632 カルチャー&スポーツ) 悲劇の智将 石田三成 (別冊宝島1632 カルチャー&スポーツ)(2009/06/06)
…改めて石田三成と茶々姫の“不義”を否定する記事を書かせていただきました。


メモ 参考資料としてご紹介いただきました。

めのとめのと
…茶々の乳母大蔵卿局を主人公描く歴史小説。茶々の祖母阿古の活躍も見どころ。
千姫 おんなの城 (PHP文芸文庫)千姫 おんなの城
…千の生涯を描いた作品。千が見た茶々をはじめとする人々の生き様、敗者が着せられた悪名が描かれる。


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