Posted at 2011.09.18 Category : ∟書籍・論文・記事
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今年の7月に出版された、千の生涯を描いた作品です。
わざわざ植松先生に送っていただき、早速その日のうちに拝読させていただきました。
なんと、『めのと』に引き続きこちらでも巻末の参考文献に私のサイトURLを掲載していただいています。
お役に立ったかどうかかなり微妙なので、大変恐縮するばかりです。
千を通して千自身、そして千の周囲の人々が負う悪名にまつわる話がとても印象深いです。
特に茶々は大変好意的に描いていただいており、茶々を描いた作品の中でもかなりお勧めです。
豊臣家内部では、京のお寧さんとの連絡伝達が大変重要な要素を占めており、それもとても面白かったです。
個人的には、千の乳母である刑部卿局についてこれまでこれといった思い入れを持てなかったのですが、この作品で徳川の人間でありながら豊臣の人々とも近くにいた女性として、難しい立場が良く描かれており大変好感をもちました。
「茶々が千の裾を踏んで退城を阻止していた」と言ったとされる千の側近松坂局の記録については描かれておらず、「悪名」を扱った作品だけに、植松先生ならこの証言をどう解釈されるか拝読して見たかったという思いもあります。まずなにより、それが事実として採用されていなかったことにはなにより胸をなでおろしましたが。
あと、落城の同月末に記録されている千の京都見物。この作品の千がどんな様子でこの見物にのぞみ、京の街並みを見たのか…それも読んでみたかったです。
…いろいろ贅沢ですね(笑)やはり文庫ではいろいろ心残りが。単行本で拝読したかったです。
秀頼の子たちの母として石が登場していますが、千の侍女出身という設定で、終始千の身近に描かれています。なんと求猒も出てきます。
千が大坂を去るシーンは、千を描いた作品の中でも屈指の名シーンだと思います。
千の退城シーンから最期に至るまで、坂崎直盛がとても男前でした。
小説の感想記事が難しいです。
語りつくせない部分も多くあり、語ってはもったいない部分も多くあり。
ともかくいち茶々ファンとしては、是非読んでいただきたい作品です。
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