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茶々姫をたどる汐路にて

茶々姫研究日記(こちらが現行版になります)

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第二十八話「秀忠に嫁げ」【大河ドラマ感想】

 
茶々姫をたどる汐路にて
(大坂城二の丸〔南の丸〕跡付近:豊国神社)

秀吉の(いつもの)晩年の描写にもうお腹いっぱいですー。苦しい。

どうしても市が茶々を「淀」なんて呼ぶのがしっくりこないです。
秀吉も最後まで「お茶々」と呼んでいたのだから、市も「茶々」で通させたらいいのに。

○大坂城から伏見城への移徙

茶々が拾(秀頼)の伏見城移徙に難色を示したのは文禄三年四月の中頃のことです(『駒井日記』)。鶴松が二歳のときに上洛して亡くなったことから、拾の移徙を案じてのことであるのもその通りです。
劇中ではその後茶々と拾をおいて寧と龍が伏見城に移ったようですが、この二人も実際すぐには移っていないようです。
寧が伏見城に移ったのは同年八月十三日のことですし(『兼見卿記』)、龍は文禄五年七月十二日には伏見城松の丸に入ったようですが、文禄三年二月に大坂城西の丸に御殿を与えられたばかりで、すぐには伏見城に入っていないでしょう。結局、茶々姫と拾が伏見城に入ったのは文禄三年の十一月二十一日のようです。

○秀頼の呼称

「御子」と呼ばれていましたが、たぶん「若公(わかぎみ)」と呼ばれることが多かったんじゃないかな…思います。

○江と秀忠の結婚

『徳川実紀』では文禄四年九月十七日に婚礼が行われたそうです。場所は伏見城とも伏見徳川屋敷とも言われます。『実紀』では「大御台所を太閤養女として。公を御聟に定められしともいふ。」との注記もあり、江が豊臣と徳川を結ぶ鎹としての役割を大いに期待されていたことが分かります。

劇中ほど秀吉との仲がこじれていたら、このような役割は期待されなかったでしょうね。
当時の結婚観として、「豊臣の家を出て徳川の人間になる」というような考え方とは違っていたと思うので、私は江は秀吉に無理矢理に嫁がされたというよりも、本人も相当の覚悟をもって豊臣から徳川に嫁いだものと考えています。

次から次に嫁がされているようで、秀勝と秀忠の間には四年ほどブランクが。
縁談や準備もろもろを考えて、秀勝の三回忌以降に話が本格化したのではないでしょうか。
秀勝とは離縁したわけではなく死別だったので、相応の期間が必要だったのでしょう。

○江と秀頼

秀勝の死後、江がどこで過ごしていたかという問題にも関わるのですが、今作の江は秀勝屋敷に留まっていたのか、秀次に近しく、実の甥である拾の存在を若干倦厭している風でした。
完子の養育こともありますし、私はやはり茶々のもとに帰っていたのではないかと思うので、江にとって拾はもっと近しい存在であったのではないかと思います。
(江と完子が秀勝屋敷に留まっていたなら、完子は日秀に育てられることになったのではないかなあ…と思うのです。)

とりあえず、江はずっと「拾」と呼び捨てでしたが、実の甥でも実際はまさかそんなことはなかったと思います。
(時に秀吉まで呼び捨てでびっくりします)

○聚楽第

一切を取り壊したと出ていましたが、確か一部残っているはずです。文禄五年の五月九日に拾上洛の際、聚楽第が使用されています(『言経卿記』、『義演准后日記』)。

○瑞泉寺

まだ参拝したことがありません。是非一度伺いたいです。
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Comment

1. 下流の大河

そもそも 前線の一指揮官に過ぎない秀吉を仇呼ばわりした所から、頭悪すぎ。浅井家と羽柴家が争ってた訳でもあるまいし。

視聴率取れる信長を悪く描けないから もっぱら秀吉を敵役にする。そのツケが後半の試聴率の崩落を招く。サル知恵とはよく言ったものです。

江姫は 極めて複雑な立場の人ゆえ 大河の主人公になった筈なのに、これからは徳川の人になるとは…。

私たち、子供でも、どっかのお家を訪ねる時は、それなりの背景を聞かされて、謝意を表すべきこと、触れてはならないことなど、 教えられたものですが。

先輩には 二枚名刺、三枚名刺を切って 相矛盾しないのが大人と言われましたよ。
(これはA社の管理職にして、B社の非常勤取締役を兼ね、C大学の講師を引き受けてるといった立場です。)

その複雑なシノギが出来てこそ大・大名お姫さま。歴史好きには勿論のこと、社会経験がある人にも、けっして見て欲しくないドラマのようですね。

2011.08.24 | 渡邊markⅡ[URL] | Edit

2. Re:下流の大河

>渡邊markⅡさん

秀吉の養女で、秀頼の叔母という希有な立場を生かし切れていませんよねえ…もったいないです。
江に本気で取り組んだら、いろいろな人のいろいろな面を引き出せる絶好の主人公になるのに…もったいないことです。

2011.08.25 | 紀伊@赤石いとこ[URL] | Edit

3. エースカード独占

>紀伊@赤石いとこさん
その上 江は秀頼の義母にして、徳川家のお世継ぎの生母にもなる訳ですから、エースカード全部持ってるようなもので。
複雑なパズルが解けずに困り果てている?幕閣の面々の顔が目に浮かぶようです。

紀伊姫さまの仰る通り、アプローチの仕方によっては 本当に面白い題材になったでありましょうに。

男性の覇業は女性の協力なしには安定せず、これもあんまり協力して頂くと「江」状態が出現する。
徳川家も相当に悩んだとものと思われます。

2011.08.25 | 渡邊markⅡ[URL] | Edit

4. Re:エースカード独占

>渡邊markⅡさん

大河ドラマの江の扱い方は本当にもったいないですね。

創作に力を入れすぎて、本来江という存在がもっている魅力を引き出せていないように感じます。

惜しいことです。

2011.08.28 | 紀伊@赤石いとこ[URL] | Edit

    
プロフィール

紀伊

Author:紀伊
茶々姫(浅井長政の娘、豊臣秀頼の母)を中心に、侍女、ご先祖の浅井家女性(祖母井口阿古など)、茶々の侍女やその子孫、養女羽柴完子とその子孫を追いかけています。
ちょこっとものを書かせていただいたり、お話しさせていただくことも。





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メモ「赤石いとこ」名義で記事を書かせていただきました。

悲劇の智将 石田三成 (別冊宝島1632 カルチャー&スポーツ) 悲劇の智将 石田三成 (別冊宝島1632 カルチャー&スポーツ)(2009/06/06)
…改めて石田三成と茶々姫の“不義”を否定する記事を書かせていただきました。


メモ 参考資料としてご紹介いただきました。

めのとめのと
…茶々の乳母大蔵卿局を主人公描く歴史小説。茶々の祖母阿古の活躍も見どころ。
千姫 おんなの城 (PHP文芸文庫)千姫 おんなの城
…千の生涯を描いた作品。千が見た茶々をはじめとする人々の生き様、敗者が着せられた悪名が描かれる。


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