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茶々姫をたどる汐路にて

茶々姫研究日記(こちらが現行版になります)

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第十二話「茶々の反乱」【大河ドラマ感想】

 
うわー、十三回を普通に見逃しました。予約録画もいつもの時間に設定しているので、土曜日の再放送までお預けでございます。
というわけで、講演会、最新回を踏まえてのお話ができません…しまった…

そんなこんなで一週間遅れですが、第十二回の感想?をば。

①三姉妹の鬢削ぎ(成人の儀)は誰が?

下着姿で暴れまわる…もとい、身づくろいする姿を見ながら、三姉妹の鬢削ぎはどんなだったのだろうと考えていました。

秀頼の妻千は十六歳ごろであっただろうと言われています。七歳で嫁入りしましたが、鬢削ぎを終えて実質的に妻になったとされています。千の鬢削ぎは、秀頼の背が大きかったのと、たぶん千は小さかったのとで、碁盤の上に千をのせて、秀頼が鬢をそいでやったという記録が残っています(「おきく物語」)。

今回は天正十一年秋ということで、設定上茶々は十五歳、初は十四歳、江は十一歳です。佐治家への嫁入り自体実現したかどうか微妙ですが、江はまだしばらく鬢削ぎはしなかったかもしれません。
初が京極高次と結婚したのは、高次が秀吉に所領を受けた天正十二年~十五年ごろだと言われています。ドラマでは普通にのんきそうに龍が出てきていますが、この頃龍は明智光秀や柴田勝家に加担してしまった高次のために秀吉に必死に働きかけている頃です。私は高次と初の結婚を、京極高吉から人質として織田家にやってきていた小兵衛(のちの高次)と織田家との絆を強固なものにするために信長が考えていたものだと考えていますので、高次の流転で婚姻話も危うくなっていたのかもしれません。そこは、龍の懸命な働きかけ、そして前回取り上げた『渓心院文』に見える茶々の働きかけによって、「筋目」通りに婚礼が行われたのだと思われます。
…話がずれました。むしろ、もう少し先の話をしてしまいました。
そうなると、初が結婚したのは天正十二年だとすると十五歳。適齢期ですね。初の鬢を削いだのは、叔母(姑)のマリアだったかもしれませんし、夫の高次だったかもしれませんし、姉の茶々姫だったかもしれません。

茶々はというと、天正十一年には既に十五歳でした。なんらかの婚礼話があったかどうかははっきりしませんが、既に鬢削ぎは市あたりの手で済ませていたかもしれません。もしくは、信長横死からそんな余裕もなく、まだ済ませていなかったとしたら、剃刀を持ったのはやはりマリアでしょうか、それとも保護者(夫)である秀吉でしょうか。

江は、秀勝との婚礼時(天正十三年/十三歳)でしょうか。この時は婚約どまりでもう二三年後のことかもしれませんね。これは、やはり養父母である秀吉や寧の手で鬢削ぎが行われたのでしょうか。
何も史料がありませんので、単なる想像ですが、ふと思いついたので…

②贈り物作戦など

これも茶々の心を懐柔するために秀吉が使った手としてよく出てくるシーンです。もちろんそれが史実かどうかは分かっていませんが。同じようなシーンを見た時、懐柔されていたのは茶々姫の乳母大蔵卿局でしたが、今回は初が一番に懐柔されていましたね(笑)

「市似」の話ですが、いくら茶々姫が長政似であっても、女子は成人するとやはり母に似てきますからね。私も全く似ていなかったとは思っていません。瓜二つではなかったでしょうけれども。
「似」つながりで、「信長似」設定の江。度々江の表情が信長のそれと重なって秀吉に見えるシーンが出てきています。病床の秀吉が夢の中で信長に会ったらしく、そのうわ言を利家が聞くという逸話があるのですが(『御夜話集』)、これはまさか江が駆けつけ来たりするのでしょうか。そういえば某漫画や小説でも、茶々に信長を見た秀吉が謝っていたなあ…

③秀吉の株回復?

みんなが「茶々様、初様、江様」と呼ぶ中で、「お茶々…さま」と呼ぶシーンがありましたね。現存している秀吉の手紙では、秀吉は茶々姫のことを「おちゃちゃ」と呼んでいますので、「茶々様」から「おちゃちゃ」に変わってゆくのでしょうか。秀吉のそばに上がった時点で「淀」に改名されてしまうのかと思っていたのですが、どうだろう。
もちろん現実に「改名」はされていません。対外的には「淀」の号を使っていたようですが、晩年まで豊臣家内では本名で署名されています。

個人的には、茶々のハンストと一緒にこっそりハンストしていた秀吉のエピソードが好きでした(お寧様にはバレバレでしたが)。なんていうか、今まで下品な欲望ばっかりしか見えなかったので、秀吉の「本気」が垣間見えて良かったです。

④江の(個人的な)株回復?

御馳走を目の前に、初と共においしそうに食べ始める江…しかし、膳に手をつけない茶々を見て慌てて箸を戻す。
個人的に、今のところ史実の江のほうがだいぶ好きなのですが、今回はこのシーンの江がとても可愛かったです。
勝家関係の時は、頑なな茶々と初とは対照的な江を初が姉同様の行動をとるように説得するというパターンでしたが、今回は逆でしたね。綺麗な着物を着たい、おいしい食べ物を食べたい初を江が姉を気遣って説得するパターンでした。なんか新鮮です。

④龍と三成

なんとなく二人のシーンが出てきたので。
この二人の関係についてはほとんど言及されることはありませんが、醍醐の花見の時、龍の輿を守っていた一人が「石田木工」こと石田木工頭正澄(三成の兄)だったりします。

しかし、つくづく残念なのが今回の大河も石田三成が茶々に思いを抱くという光秀の奥方にとても気の毒な設定。
秀吉とじゃれあう三成は好きですが…(そして最初から無駄に偉そうでないキャラクターも私は好きです)

⑥秀康(義)と秀忠(長)の初登場

今回は家康が良い人に描かれていますので、家康に愛されなかった於義丸こと秀康の描写が残念でしたね…。個人的に秀康は好きなので、それだけに残念です。
秀康について一般的な知識しかありませんが、福田先生の『徳川秀忠―江が支えた二代目将軍』を参考にご紹介すると、秀康は妾である万(小督局)を母に生まれますが、父に疎まれ(容姿が醜かったせいだとも、母万の貞操を疑ったからだとも)、弟を哀れに思った年の離れた兄信康の仲介でようやく認知されたと言われています。彼の嫡男秀直の妻は秀忠と江の娘(福田説では江の娘ではありませんが…)勝です。そして、勝の娘鶴が江の長女完子の息子九条道房の妻となりますので、江にとっては縁の深い人でもあります。
後に人質同然で秀吉の養子になるのですが、その関係で親秀頼だったとも言われていますが、事実はどうなんでしょうね。

あと、秀忠の幼名が「竹千代」で登場しています。最初「長丸」と言ったのを、嫡男にするにあたり「竹千代」と改めたことになっていますが、天正十九年まで「長」という名前で出てきているとのことですので、この時点での改名はおかしいですね。そもそも、福田説では「秀忠の世嗣としたの正当性を高めるために『秀忠が世嗣になるにあたり幼名を竹千代に改めた』とする経歴が付与されたものであろう」と、改名自体無かったとされています。
秀忠は秀康が豊臣の養子になる以前から世嗣としての扱いを受けており、その理由は「生母が正室の出ではないため」とされ(「パジェー日本耶蘇教史」)、の秀忠の母愛(西郷局)が正室に近い扱いを受けていたことが分かります。そのため、ケチをつける暇もなく嫡男信康の死後は秀康ではなく秀忠が嫡男扱いだったようです。

あと、コメントでこの時点での天正二年生まれの秀康はこのとき十歳のはず…ということを教えて頂きました…今回だけでも子役さんでよかったのでは…(苦笑)

⑤今週の茶々姫

「そなたたちは私が守る」と仰ったにもかかわらず、今回は妹や乳母たちを巻き込んだハンストを行うという、先週の決意とは裏腹な行動をしていました。でも、自分が妹たちを巻き込んでいると苦悩する表情がかなりあって、矛盾がそこまで気になりませんでした。
ドラマの設定ほど秀吉を仇と憎んでいるのであれば、その仇の慰みものにされるのはそりゃあ嫌ですよね。
でも、秀吉の庇護を受け付けないというのは、実はドラマ上での市(勝家も秀吉に三姉妹を託した書状を送ったとも言いますので勝家も)の遺志を無碍にしていたりするのですが……そこまで思い至るほどの余裕はなかったようです。

結局、千利休に説得されてハンストを辞めましたが、実はこれも時代考証の小和田先生説のとおり、「運命と思ってあきらめた」となっていますね。なんやかんやで小和田説にきちんと繋がるのはさすがだと思います。

補: 三姉妹の別れ…?/大坂城築城中

このあたりは内容的に次回、次々回の内容になりますので、備忘録としてタイトルだけ書かせてください。
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プロフィール

紀伊

Author:紀伊
茶々姫(浅井長政の娘、豊臣秀頼の母)を中心に、侍女、ご先祖の浅井家女性(祖母井口阿古など)、茶々の侍女やその子孫、養女羽柴完子とその子孫を追いかけています。
ちょこっとものを書かせていただいたり、お話しさせていただくことも。





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メモ「赤石いとこ」名義で記事を書かせていただきました。

悲劇の智将 石田三成 (別冊宝島1632 カルチャー&スポーツ) 悲劇の智将 石田三成 (別冊宝島1632 カルチャー&スポーツ)(2009/06/06)
…改めて石田三成と茶々姫の“不義”を否定する記事を書かせていただきました。


メモ 参考資料としてご紹介いただきました。

めのとめのと
…茶々の乳母大蔵卿局を主人公描く歴史小説。茶々の祖母阿古の活躍も見どころ。
千姫 おんなの城 (PHP文芸文庫)千姫 おんなの城
…千の生涯を描いた作品。千が見た茶々をはじめとする人々の生き様、敗者が着せられた悪名が描かれる。


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