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茶々姫をたどる汐路にて

茶々姫研究日記(こちらが現行版になります)

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植松三十里『めのと』

 
今日は小説を紹介させていただきます。

めのと めのと
(2009/10/08)
植松 三十里

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大蔵卿局(小袖)が主人公の歴史小説です。

実はこの作品が書籍化する前から植松先生にメールをいただく機会がありましたので、私にとってはずっと楽しみに待っていた出版でした。

恐れ多いことに、参考文献の頁にうちの『萩の御前』を並べていただいております。
永遠に工事中サイトなのに、他は私も大事にしているような高名な書籍資料ばかりですので…恐れ多さに身の縮む思いです…

ともかく、ぜひご一読ください。

感想をここで書いてしまいたいのですが、今は何を言ってもネタバレな気がして何も書けません。

ただ、うちをご愛顧いただいている方にとっては、
何度か「えっ!?」とショックを受けたり、がっかりする場面に出くわすかもしれませんが、読み進めれば納得、という展開が何度かあります。


そして…そして、何よりも、私が大好きな女性たちがかっこいい。
特に○○さんが…!
まさか小袖を主人公にして、この方がこんなにかっこよく描かれるなんて思ってもみなかったので、もう、それだけでも私としてはすんごくすんごく感動でした。

このたびは、ありがたいご縁をいただきまして、本当にありがとうございました。


そうそう、いい機会なので、こちらもご紹介。

千の命 千の命
(2006/06/08)
植松 三十里

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賀川玄悦、という江戸中期のお医者さんを主人公にした小説です。
私もこの方のことは全く存じ上げなかったのですが、そんなこと問題になりません。

この作品はかなりおすすめです。
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戦国グッズ市場に思う

 
もののふさんという戦国グッズのお店が今日小谷城まつりにいらしていたのですが、そこでこんなのを見つけました。

浅井三姉妹Tシャツ
http://www.mononofu.net/SHOP/T0034.html

高くて買えなかったけど;
家紋から、真中がお江、左が茶々姫、右がお初であることがわかりますね。
お江が真ん中ってことは、やっぱり大河の影響だよ…ね?

おんなじお店にこんなのも。


戦国一の美女・お市を巡る三人の戦国武将の愛憎劇http://www.mononofu.net/SHOP/T0031.html

愛憎劇…って……
ほかの方はいざ知らず、長政公的には「???」ですね;
でも、太閤さんはなんか似てる…気がする。。

今回のお祭りに行って思ったことは、
戦国グッズがすごい市場になってるんだなあ…ということです。

でも、私は…あくまで私に限ったことですが。
まだ数少ない時に縁のグッズを見つけたときには大喜びで買いましたけれど、ここまでいろいろと出てしまうと有り難味がない…というか。
花押とか、家紋とか、モチーフは限られているので仕方がないのですが…
Tシャツとか、マグカップとか、タオルとかいろいろ見ていると、
「でも、使わないよね…」とふと我に返ってしまうのですよ。

今回も結局湖北町キャラ「茶々姫」のボールペンとかだけ購入しました。
ボールペンは仕事に使うしね。

需要があるから供給が増える…それは、わかるけど。
現状の戦国グッズ市場、皆さんはどうお考えですか?


歴女…なあ…
ちょっと年齢が小娘な私が講演会や史跡にいるだけで、そう見られるのは私にとってはかなり不快です。
今回も講演でおひとり「レキジョ」、「レキジョ」と連呼されていてなんとなく憮然としていた私です。
こちとら××年やってるんだが。なんて埒もないことを言いたくなるよ。
 

「信長の城づくり 長政の城づくり」

 
さて、10/4(日)小谷城まつり、本番。

全然知らなかったのですが、今日は上平寺城でもイベントがあったらしく、なければ中井均先生とまたお会いできたかも!と思うとすこし残念。

幸運にも記事を書かせていただいた例のムックで、中井先生も執筆されていたのですが、いかんせん私はPNを使っているので…。
私の恩師とも知り合いということで、またぜひお会いしてご報告したいな。

そして上平寺城…京極さんちか~!
行ってみたいとも思うけど、やっぱり小谷城とかぶったらこっちを取るなあ…。

と、それはともかく。
これは今日の講演で講師をしてくださった仲川靖さん(滋賀県教育委員会事務局文化財保護課城郭調査担当主幹)が教えてくださったことです。

今日の講演のタイトルは「信長の城づくり 長政の城づくり」という、城郭のお話でした。
私は城郭にはとんと疎いので、この手の講演は本当に勉強になります。

某マンガでちらりと見たことのある虎口もようやく理解できたし(…)、城郭は結構先生によっておっしゃることが違ったりするのだけど、どの見方もすごく印象深くて、城郭研究の面白さというものを垣間見る気がします。

今日のお話を軽くまとめておきます。

まず、発掘調査が進められている小谷城ですが、城郭研究でやりがちなことは、出てきたものすべてを繋げてしまう、同じ時代のものとして扱ってしまうことだそうです。

有名な説に、小谷城は戦の時に焼けていない、というものがあります。
これは、礎石が焼け落ちず全部発掘で出てきたからだそうです。
しかし、この小谷城を最後に使ったのは誰か。
それは、羽柴秀吉です。
秀吉は小谷城に入るか入らないかのうちに長浜城の建築を始めていたようですが、それでも三年ほどは小谷城で過ごしました。
今残る礎石は、秀吉時代のものである可能性もあるんじゃないか?というのが仲川先生のお話でした。

実際、鐘丸(本丸部分)には二つの屋敷の礎石が出てきているのですが、普通ならこの部分には櫓があるはず、とのこと。
どちらも両方、かどちらか一つ、かまではわからないけれど、秀吉時代に建てられた館である可能性は捨て切れないのではないか、ということです。

うーん、なるほど。
城郭には全く素人な私なんかだと、図面にいくつも館跡や門跡、堀や土塀跡があると、同時期のものだと思ってしまいますが、そう言われると確かにそうかも…と思いますね。

そして、小谷城は確かに難攻不落の造りであったこと。
追手搦手をうまく使っているため、織田軍が落城に三年かかるのも頷ける、という話でした。
また、この形態は安土城にも見られ、信長が参考にした可能性は高いとか。
虎口のつくりも安土城と重なる部分があるそうです。
これらは浅井氏のこれまでの城郭とは異なる先進的な構造であることから、一般的に「朝倉流」と呼ばれ、朝倉氏が作ったものであるとも言われます。
しかし、実際福井の城郭をみてもこのような構造は見られず、その考えは受け入れ難いとか。

では誰が…という話ですが、
まず浅井氏であるという説。
同じ浅井氏といっても、実際は長政など城主自身が城を設計しているわけではなく、それを実際にしている軍師の力が大きいとか。
浅井氏の中でも、かの秀吉をして自らの軍法の師と言わしめた人に、軍目付(軍師)海北綱親(海北友松の父)がいます(もしくはその嫡男?)。
この人あたりになら、これが作れたのでは…?

そしてもう一つは、織田方であるという説。
このように複雑な構造が見られる大嶽城や福寿丸などの土塀や堀は、小谷城攻防戦で織田軍が奪取しています。
奪取の後に築いたのだとすると、虎口に関しては小谷城を参考にしたのではなくもともと織田軍の構造であったということに。

個人的に気になっていた海北さんの名が出てきたことにびっくり。
「海赤雨の三将」と言われるのも、浅井三代記の作者が彼らの子孫からの賄賂的なもので持ち上げたものだと言われていますので。
赤尾清綱についてはだれも異論はないとしても、確かに綱親さんの子はかの有名な友松ですし、雨森清貞さんのご子孫は今でも名家として続いているくらいですから、納得してしまいそうなのですが。

浅井家の文武両道な軍師善右衛門さん、実在していたら素敵だなあ…なんて。


…いやいや、相変わらずまとまりのない文章で申し訳ありません;
お詫びに湖北町の浅井三姉妹を。


 

小さな声の行方/「2011年大河ドラマ『江』と湖北地方の魅力」

 
今日、小谷山麓の清水谷周辺で小谷城まつりがありました。


↑ 会場の様子

お祭りの開催に伴い、昨日と今日、二つの講演が行われましたのでこちらに残します。

10/3(土)第二回リアル湖北 戦国浪漫街道フェスティバル
?基調講演「2011年大河ドラマ『江』と湖北地方の魅力」
NHKチーフプロデューサー屋敷陽太郎氏

?パネルディスカッション「湖北に求められる歴史観光に根ざした地域づくり」

パネリスト:
竹谷健治氏(観光庁観光地域振興部観光資源課長補佐)
高橋政之氏(長浜商工会議所会頭)
香水敏夫氏(郷土史研究家)
屋敷陽太郎氏(NHKチーフプロデューサー)
コーディネーター:田淵正人氏(近江屋ツアーセンター所長)






ご存じのとおり茶々姫ひいきの私にとって、大河ドラマはいろいろ複雑な思いがあります。
中には『利家とまつ』の「鬼の淀どの」のような(私にとって)奇跡の回もありますし、間口をドラマ以外に広げれば、『その時歴史は動いた』の「鎧をまとった母 淀殿の悲劇」のように、これ以上ないくらい嬉しかった回もありました。

それでも、やはりいつまでも型にはめたような恐ろしい「淀」もまた、現実でした。

本来ならば、妹であるお江が取り上げられることは、茶々姫もまた近親としてクローズアップされることは間違いのないことで、ファンとしてはもろ手を挙げて喜ぶべき、なのかもしれません。
それでも、恐ろしい「淀」は私や、ネットを通じて巡り合った同志の方々が素直に喜ぶことを許さないのです。

それでも、それでもやっぱり、私たち…少なくとも私には、テレビ画面で素敵な茶々姫を見たいという気持ちは捨て切れない、それも事実です。

大河と聞くと、身構えてしまう私が、この講演に足を運んだのは、少しでも心が穏やかになる情報を、その切れ端でも得たかった…のだと思います。

お話は当然収録も始まってませんので、それほど2011年度大河に触れられることもなく終わったのですが、それでも端々に出てくる会話に一縷の望みをかけて耳を傾ける私…。

なぜお江とお初はさんづけなのに、茶々姫は「淀」なんだろう…と、きっとなんでもないことすら気にかかる始末(実際は最初だけさんづけされてましたが)。

あんまりナイーブになりすぎて、若干ふらふらししながらも、大河のチーフプロデューサーなんて雲上の方を遠くに見ていたのでした。


講演後、パネリストのお一人でいらっしゃる香水先生はお世話になったことがあり、少しお話を…と思って外へ出ると、屋敷さんが出ていらしてびっくり。
さすがにたくさんの人に囲まれていらっしゃいましたが、ふらふらしていた私は迷惑にも何かこのチャンスに伝えなければ…というわけのわからない思いに駆られ、恐る恐る声をお掛けしたのでした。
「プロデューサー」に「チーフ」までついてるし、カーディガンかけてないけど(それはディレクターか。)、小娘のたわごとなど相手にしてもらえないだろう…と思っていたのもあって、まさに蛇に睨まれたカエル状態。
口だけパクパクするけど、心臓がドキドキしすぎて、言葉が出てこない。
もう、それは滑稽な状況だったと思います。

そこに香水先生が帰ってきてくださり、屋敷さんとの間をうまく取り持ってくださり、なんとかかんとか限られた時間でお話をさせていただきました。

もちろんドラマという創作をおつくりになるのですから、こうしてください、などというのは筋違い。
ただ、伝えたかっただけです。
たとえ少数でも、心待ちにしたいのにできない人がいること。

…まあ、こんな僭越なことを口にしてしまったわけですが、取り越し苦労だった…のかもしれません。
屋敷さんは、こんな失礼な小娘に、丁寧に対応してくださいました。
井上安代先生(秀頼研究の大家)に史料を紹介してもらっていること、そしてなんとうちのサイトにもいらしたことがある、とか…

ま、ま、ま、まさか、こんな辺境サイトをご存じだとは思ってもいなかったので、びっくりしすぎてまた動悸を覚えました…
大蔵卿局ページの話とか伺ったのですが、たぶんうちで間違いない…はず。
なぜか大蔵卿局ページはいろいろいい評判をいただいて恐縮です…いやいや。
や、うちのサイトはいいんだけど、茶々姫の侍女をお調べになるヒントを探していらっしゃったようなことをおっしゃっていたので、私はちゃんと茶々姫のことも調べてくださってるんだ…とうれしくなったのでした。

うん、なにもまだわからないけどね。
さすがに屋敷さんお一人で大河ドラマを作られているわけではないし、ドラマ的展開を重視されて、私たちが望まない人物像で描かれる可能性だって十二分にあるわけです。

でも、なんか、小さな私たちの声を届けることができて、うれしかったというか…ほっとしたというか…

そもそも私が茶々姫に関するサイトを立ち上げたその訳は、小説やドラマで描かれる茶々姫の姿に疑問を持っていただきたい、そして、私自身少しでも真実の姿を知りたいという思いでした。
それが、まさか大河ドラマという大きな作品をお作りになられる方の目に触れることがあろうとは…なんというか、身の引き締まる思いです。

…というわけで、これからも誠実に調査を続けてまいりますので、どうぞ皆々様ふつつかな管理人ではございますが、よろしくお願いいたします。
(ただし、茶々姫ひいきはなかなかなおせないですが…)


ps: (更新情報)饗庭局さんなど、ちょこっと加筆いたしましたのでよろしければ。
プロフィール

紀伊

Author:紀伊
茶々姫(浅井長政の娘、豊臣秀頼の母)を中心に、侍女、ご先祖の浅井家女性(祖母井口阿古など)、茶々の侍女やその子孫、養女羽柴完子とその子孫を追いかけています。
ちょこっとものを書かせていただいたり、お話しさせていただくことも。





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メモ「赤石いとこ」名義で記事を書かせていただきました。

悲劇の智将 石田三成 (別冊宝島1632 カルチャー&スポーツ) 悲劇の智将 石田三成 (別冊宝島1632 カルチャー&スポーツ)(2009/06/06)
…改めて石田三成と茶々姫の“不義”を否定する記事を書かせていただきました。


メモ 参考資料としてご紹介いただきました。

めのとめのと
…茶々の乳母大蔵卿局を主人公描く歴史小説。茶々の祖母阿古の活躍も見どころ。
千姫 おんなの城 (PHP文芸文庫)千姫 おんなの城
…千の生涯を描いた作品。千が見た茶々をはじめとする人々の生き様、敗者が着せられた悪名が描かれる。


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